※事例に関しましては、当会理事、その他相談員が実際に関わった事例を挙げています。ただし個人情報保護のため、個人情報に関わる部分は伏せて記載しています。
また、事例において特に重要でない部分に関しては、個人の特定を防ぐため、あえて異なる表現をとっていることもございますのでご了承ください。

※またここであげさせていただいております事例は、成年後見制度、任意後見制度を活用するに至ったケースに限定しておりますので、様々なご相談をいただいております内容によって、他の制度を活用して問題を解決したケースもございます。ここでは情報量が多くなってしまいますので割愛させていただきます。

ご相談事例

任意後見制度を活用した事例

1.特別養護老人ホームからの相談

本人:かなりの高齢ではあるがしっかりと自分のことはされている

まったく身寄りがなく、入院や亡くなられた時に不安のため、施設の方から相談。本人も納得し、公正証書で委任契約・任意後見契約・死後の委任事務契約を結ぶ。
万が一の入院や亡くなられた時の備えができたことで、施設では安心され、穏やかに毎日を過ごしている。

2.地域包括支援センターからの相談

本人:一人暮らしで長年透析をうけている。ヘルパーを使いながら自由に生活を楽しんでいた

結婚歴はなく子供はいない。仕事を一生懸命やってきたが透析を受けることになり退職。友人は多いが、親戚は遠方なこともありかなり疎遠、唯一近くにいた親族がこれまで、入院時など手伝ってきたがトラブルがあり、今後一切タッチはしないと言われた。
そのため頼る人がいないからと、専門家を紹介してほしいということになる。本人了承の上公正証書で委任契約・任意後見契約・死後の委任事務契約を結ぶ。毎 月の訪問で万が一の時に備えて、自らのお寺や、友人関係などをできる限りまわる。相続人がいない上、お世話になった友人たちに自分に万が一のことがあった ら財産をあげたい。と言っていたため遺言の必要性を度々訴えるも遺言はまだいい。との本人の意思で遺言は書かなかったが、ある日突然心筋梗塞で自宅で亡く なられる。警察の検死の結果事件性はないが、任意で取り調べに合う。

亡くなられた連絡を生前聞いていたすべての方にする。友人、疎遠だった親類が集まり、葬儀等について話し合い。生前本人が希望していた簡素な式で見 送ることとする。銀行もすべて止められていたため、自宅から小銭などを集めて資金とする。葬儀など取り仕切る親族がいないため任意後見人受任者が葬儀、火 葬、納骨までとりしきって行う。その後の諸届、手続き一切も行い、相続人が不存在のため家庭裁判所に「相続財産管理人選任申立」を行い。弁護士の管理人が ついたため引継ぎ終了となる。

3.地域包括支援センターからの相談

本人:一人暮らし今までお金の管理や手続き関係を全部やっていた夫が亡くなり自分ではどうすることもできない

今までお金の管理や手続き関係を全部やっていた夫が亡くなり自分はいままでやったことがないのでどうしていいのかわからない。本人も納得し、公正証書で委任契約・任意後見契約・死後の委任事務契約を結ぶ。
夫の遺産相続手続きは、司法書士などと連携し問題なく行う。その後は定期的に訪問し、郵便物を確認し必要な手続きを行う。お金をおろしてきて必要な分は本人の手元へ。必要な支払い(介護サービスなど)を行っている。
介護サービスの安定によって、夫の死から立ち直り、元気に生活をされている。

 

4.地域包括支援センターからの相談

本人:現在は特に問題なく独居生活を満喫している。

アパートで入居して特に健康状態なども問題なかったが、知人が要介護状態となり不安になる。その後本人がケアハウスを見つけ入居の意思を固めたが、親族とは疎遠で身元保証人がいないと入居できないとのことで、任意後見契約、死後委任事務契約を締結する。任意後見人は身元保証人にはなれないが、任意後見受任者が粘り強くケアハウスと交渉。緊急時、入院時の対応、また万が一亡くなられた時には本人の意思で委任を受けていることを説明、ケアハウスも納得され無事に入居できることとなり、現在は趣味の時間などをもち楽しく過ごしている。

 

 

成年後見(法定後見)制度を活用した事例

1.地域包括支援センターからの相談

本人:知的障害 コミュニケーションはとれるが、知的能力は小学校1年生程度

知的障害の方が自宅で母親と2人で暮らしていたが、母親が認知症となり施設での生活となってしまい、知的障害を抱えた本人だけが残されてしまった。 近くに親戚はいたが、関係が良好ではなく、その他の近隣の方々からも財産を少しずつとられてしまっていた経緯もあることから、成年後見制度を利用する。
保佐人がつくことになり、財産管理、契約行為などの代理を行う。本人は一人での生活を続けられ定期的に細かく渡すことで使いすぎを防いでいる。1人での生 活となったが介護サービスなどを契約し大きな不自由もなく暮らしている。また、ときどき金銭を要求するような意図が見られる人の訪問もあるが、保佐人の連 絡先と名刺を渡すように伝えてあるため、本人がだまされたことなどは保佐人がついてから一度もない。入院などが時々あるが、手続きなどは問題なく保佐人が 行い、本人の意向にできるだけ沿った上で治療がなされている。

2.病院ソーシャルワーカーからの相談

本人:精神障害 妄想等病状は安定しないが、平時は普通にコミュニケーションがとれる

精神病院に入院されている方が急に父親が亡くなり相続人となったが、本人では手続きなどはできない。そのため成年後見制度を利用することになる。
後見人がつくことになり、医療費の支払い、日常的な面会で信頼関係を築きながら、父親の相続手続きも同時に行う。相続人の特定のための戸籍の集収、銀行預 金の解約、証券の引継ぎ手続き、不動産の相続手続き、相続税の手続きなど、司法書士・税理士などの専門家とも連携をとりながら進めていく。不安がとれたか らか病状も安定し、退院の話もでている。

3.障害者施設相談員からの相談

本人:知的障害 コミュニケーションはとれるが、知的能力は小学校1年生程度

法律の専門家が保佐人として付いていたが、何カ月も訪問しない、何か相談ごとがあっても相談できない。とのこと、裁判所や当事者の法律の専門家と本 人を交えて話をしなければならないが、法律の専門家が信頼関係の欠如を理由に辞任。後任の保佐人がつく。後任の保佐人は、何もなくても毎月1回は訪問し、 本人施設職員とも相談をすぐにできる状態をとっている。

4.サービス業の店主からの相談

本人:認知症 話はできるが理解することは難しい

以前働いていたお店の店員が、認知症になり何とか今まで面倒を見ていたが、自分たちも高齢なので何とかしてほしい。
後見人がつくことになり、入院している本人との面会を繰り返し、医療費の支払い、本人が残した家財道具の処分などを行う。病状は安定していたが、急変し病 院で深夜に亡くなる。後見人が死亡時に立ち会い。事前に行政担当者、遠方にいる親族とも連絡をとっていたため、亡くなったことの報告と、死亡届、年金など の諸手続き、近隣のNPO法人と連携をし、葬儀・火葬を行う。埋葬は親族が行うということなので、遺骨をもって親族のところへ行き、本人の生前の様子、思 い出の品などをお渡しし、後見活動は終了となる。

5.本人の姪からの相談

本人:精神病、その場での会話はできるが財産管理などはできず一人で生活することは難しい

本人の親が亡くなり相続が発生したが、相続人の一人である本人が精神疾患で入院中で契約や遺産分割協議ができないため、成年後見制度を利用する。姪は全く本人との面識はない。
後見人が付き、本人の入院費の支払い、本人との信頼関係の構築をしながら、家庭裁判所で遺産分割協議に関する調停に本人に変わって参加する。民法の法定相 続分にしたがって分配することで、調停は問題なく終了するが、その後共有で取得したマンションで水漏れのトラブル発生、他相続人がすぐに動けないため、代 わって後見人が近所の迷惑をかけた方々に謝罪、他相続人と相談しながら今後の保証などについて決める。
また、亡くなられた本人の親には内縁関係の方がおり、亡くなられた親の死亡日近辺で不審な大金が引き下ろされており、内縁者による搾取の可能性が高いとの ことで、弁護士と協議の上、その内縁者を提訴する。法廷で争うも被告弁護士が和解を提案、こちらの条件にも合致していたため、後見審判をした家庭裁判所と も連絡をとり、和解成立。これによって本人の財産は数百万円単位の徳となっている。

6.本人の兄弟からの相談

本人:認知症、物事をすぐに忘れてしまい一人でで生活をすることは難しい

本人は一人暮らしをしていたが認知症となり一人での生活は困難となる。病院に入院していたが治療の必要はないので退院を迫られており、今後の生活と財産管理が成り立たないので成年後見制度を利用する。
後見人が付いたとあとは、以前は親族間にトラブルがあり意思の疎通ができなかったが、後見人が間に入ることによって、親族間も落ち着き兄弟と連携した上で 有料老人ホームを探し、自宅を売却、売却代金を有料老人ホームの入居金へあて現在は穏やかにホーム内で生活をされている。

7.在宅のケアマネージャーからの相談

本人:認知症、一人で生活をしていたが、体調不良になる

本人は一人暮らしをしていたが、身寄りがなく認知症も進んできたため介護保険の契約や財産管理が困難となり相談、成年後見制度を利用する。
後見人が付きケアマネージャーとともに本人の在宅生活を支える。しかしある日、自宅で倒れているところをヘルパーが発見し救急搬送一時は生命の危険があっ たが、徐々に回復し話ができるまでになる。病状も安定し、有料老人ホームへ入所現在は穏やかにホームでの生活を送っている。住んでいた自宅は後見人が片づ けや不用品の処分等を行い売却、有料老人ホームの一時金へとあてている。

8.地域包括支援センターからの相談

本人:精神疾患、家族への暴力があるが、落ち着いている時や第三者には穏やかに話ができる

本人は、自宅で両親と暮らしていたが、度々家族への暴力によりトラブルを起こし入退院を繰り返していた。入院中に高齢の父親が無くなり、父親に生活のほとんどを依存していたこと、父親の相続の手続きが複雑なことを理由に成年後見制度を利用する。
保佐人が付く。相続の関係が複雑なこと、財産関係が複雑なため、行政書士とともに複数での保佐となる。父親の遺産相続手続きと同時進行で、本人の生活につ いての話し合いを各関係機関と重ね、本人了承のもとグループホーム入居。ホーム内では、精神上のストレスから被害妄想や幻聴などの訴えがあったが、職員と ともに保佐人も根気強く付き合い、信頼関係を構築している。

9.地域包括支援センターからの相談

本人:認知症、話をすることはできるがすぐに忘れてしまう

自宅で一人暮らしをしていたが、認知症と診断さる。病状が進み自宅生活ができなくなるほどの問題行動が続き、病院へ入院し治療を受ける。問題行動が 見られなくなったため、介護施設を探していたが、結婚歴はなく近隣の親族は高齢のため動けず、また他の親族は遠方のため成年後見制度を利用する。
後見人が付き、地域包括支援センターと相談し特別養護老人ホームへ入居する。ホーム内で穏やかに過ごしていたが、”目が見えない”との訴えが続き、後見人 が付き添って総合病院の眼科を受診し診断を受ける。Dr.の指示により定期的に眼球に注射をする治療を行いやや改善がみられている。総合病院は常に混んで いて待ち時間が3時間以上かかるときもあり、本人とともにコーヒーとケーキを食べて談笑したり、若かったころの話を楽しそうにされるのを聞くのが、後見人 の楽しみにもなっている。

10.地域包括支援センターからの相談

本人:若いころに仕事中に足を失い常時車いす。認知症の症状も見られる

自宅で、内縁関係の方と過ごしていたが、火の取り扱いができない、言ったことをすぐに忘れるなどの症状が出て入院。近隣に親族はおらず、内縁関係の方も本人の財産を搾取していた可能性があるため、成年後見制度を利用する。
補助での申立のため、補助人がついたが、認知症の進行はかなり進んでいて、本人の財産や契約行為などを行わなければならない部分がおおいため、家庭裁判所に補助人の代理権の追加を申立て認められる。
補助人が付いた後、病状も安定し特別養護老人ホームのショートステイを利用しながら、特別養護老人ホームの空きが出るのをまっていた。空きがでてすぐに本入所手続きをとり、住所の変更手続き等も行い、ホームで穏やかに生活をされている。
本人の自宅は借家であったが、本人了承、裁判所の許可のもと、借家内の掃除をすべて行い、思い出のアルバム等は本人の手元にそれ以外はかたずけ処分し借家の解約を行う。

11.病院の相談員からの相談

本人:認知症、寝たきりで話すことも難しい状態

自宅で息子と生活をしていたが、経済的虐待の可能性が高く本人も保護を要求していたため、市役所の措置により養護老人ホーム入所する。その後精神症 状が悪化し、精神病院などを転々とされているうちに寝たきりとなる。親族はいるが、本人が元気な時にひどい嫌がらせを受けたとのことで本人との関わりを拒 否し、他に本人のために、契約や財産管理を行う人がいないため成年後見制度を利用する。
後見人が付いた後は、定期的な訪問と医療費の支払いを行う。後見人が付いた旨、本人の状況などを親族へ報告するも全く返答なし。後見人が付いて4カ月後に 病院で急変しお亡くなりになる。すぐに内容証明で親族へ連絡、葬儀や火葬、埋葬などについて意見を求めるも全く返答なし。裁判所、市役所、病院と連携をと り後見人が葬儀、火葬まで行うこととする。親族からの連絡があるかもしれないため期間を5日間ほどもうける。葬儀前日同居していた息子より電話で後見人に 連絡あり。一切の事情を話し、息子からも話を聞く。自分はそんなつもりもなかったのに虐待などといわれ、市役所や裁判所が勝手にやったので不満であること 数時間にわたってはなし、後見人はそれを聞いた後、息子より”すべてお願いしたい。ただ遺骨だけは引き取りたい”との言葉をいただたため、葬儀、火葬を行 う。住職がしっかりと儀をとりおこなった後、後見人が息子が指定した場所へ遺骨を届け、後見活動は終結となる。

12.認知症の家族からの相談

本人:認知症、お話好きでその場のコミュニケーションはしっかりしているが、すぐにあったことを忘れてしまう

自宅で配偶者とともに穏やかに過ごしている。現在は穏やかに生活をしているが、配偶者は心臓を患っており、万が一の時には本人の生活が成り立たない。子供が一人いるが精神疾患があるため、あてにできず、相談をされる。
将来の不安のために、とのことで、本人が成年後見制度を利用した上で、その成年後見人に配偶者と専門職の複数での後見活動を提案する。そうすることによっ て、現在の穏やかな生活を崩すことなく、将来配偶者に万が一の時には、専門職後見人が本人の生活を守ることができる。
現在は、専門職と家族との複数での成年後見人が付くことによって将来の不安もとれ、さらに穏やかに2人での生活を楽しんでおられる。

13.特別養護老人ホームの生活相談員からの相談

本人:軽度の認知症はあるものの認識はしっかりしている。車いす移動

本人は特別養護老人ホームで生活をしている。親族はいるが、行方不明であったり精神病院に長期入院をされていたりで頼れる方はいない。ホームで生活している限りは問題はないが、入院などになったときに不安なので成年後見制度を利用する。
本人の了承を得て、補助での申立てをし補助人がつく。ホームで穏やかに生活をされていたが、食事が食べられなくなり、入院他の合併症も重なり、1カ月後病 院でお亡くなりになる。補助人として、病院の手続き、死亡届等を行い、遠方にいる親族に電話で、病院に入院している親族には会いに行って状況を伝える。精 神病院に入院していた親族は最後だからと介護タクシーの手配をとり本人との最後の別れの時間を作る。
市役所や特別養護老人ホームなどの関係者からの聞き取りで、本人のお墓を見つける。御寺の住職へ連絡をとり、葬儀、火葬、埋葬の一切を取り仕切って行う。これによって補助人としての活動は終了する。

14.病院の相談員からの相談

本人:精神疾患により長期入院中、精神上の理由で今後も病院での生活が長く続くと予想される

病院での長期入院中。病院で財産管理をしていたが、病院で財産を預かることは難しくなったとのことで成年後見制度を利用する。
後見人が付き、定期的な面談、医療費の支払い、障害者関係などの諸手続きを行う。精神的な混乱もなく、穏やかに過ごされている。

15.市役所からの相談

本人:知的障害、年齢で言うと6・7歳の知的レベルだが建築関係に就労し他者とのコミュニケーションも良好に築いている

本人は自宅で母親と二人暮らしをしていた。母親が亡くなり1人での生活ができず、市役所が介入すると母親が生きていたときから近隣の方々に金銭を搾取され ていた形跡があり、親切を装い、10数年にわたりかなりの金額を搾取されていた可能性が高い。本人は一人で財産管理などができないので緊急的に市役所が本 人の財産を預かっており、成年後見制度を利用する。
保佐人がつき、本人の財産管理、母親の相続手続き等を行う。本人の希望で自宅は引き払い、以前からお世話になっている建築業の社長宅へ3食付きで住まわせ ていただいている。裁判所とも連携をとり、保佐人立ち会いの下、本人と社長とで建物賃貸借及び役務提供(食事・洗濯など生活に必要な全般)契約書を取り交 わし、本人の生活が保証されるようにする。財産は保佐人が管理してるため、搾取の可能性はなく、同居している方々ともかなり良好な関係を築いている。

16.知的障害者施設からの相談

本人:知的障害、話をすることはできないが、身体的には問題なく、指示したことに対して実行することができる

いままで生活上のことは施設の世話人と本人の母親が行っていた。支払いや手続きなどは本人の母親が行っていたが、母親が高齢となり今後どこまでできるか分からないため、成年後見制度を利用する。
成年後見人が付き、母親とともに支払い手続きなどを行う。本人の父親の相続の手続きも済んでいなかったため実施する。現在は後見人が母親とともに協力しながら本人の手続きや支払い、生活上のことなどを行っている。

17.地域包括支援センターからの相談

本人:認知症、身体的には問題がないが、言ったことをすぐに忘れてしまう、お金の管理ができないなどの症状がある

自宅で介護サービスを利用しながら一人暮らしを送っている。親族は全くおらず、近隣との関係も希薄のため成年後見制度を利用する。
後見人がつき、定期的に訪問ニーズをくみ取る。本人の収入と支出に関して赤字であり、このままでは生活が立ち行かなくなるため、一つずつ本人のニーズを確 かめ、ケアマネージャーとも連携をしながら、支出の削減を行う。その結果、少しずつだが収支が黒字になっており、緊急の事態にも対応できるようになる。

18.親族からの相談

本人:認知症 話すことは可能だがすぐに忘れてしまう。車いすでの生活を送っている

本人は老人ホームに入居中。生活上は特に問題はないが、子供などはなく、甥が本人の財産管理を行っていた。甥自身も病気を抱えており、本人の財産管 理が負担になっていた。また本人の兄弟の相続の手続きも未了であったのと、本人が若いころから親族より多額の借金をしてたため、その返済に困って成年後見 制度を利用する。
後見人がつき、本人の財産を調査したところ、1カ月あたりの収支はほぼプラスマイナスゼロの状態であったが、住民税の障害者控除、介護保険制度内の減額な ど、まだ本人が使ってなくて使える制度がたくさんあることがわかる。手続きを早急に手続きを行い。支出が大幅に減額される。本人も穏やかにホームでの生活 を送り、甥も自分の治療もしながら義務的ではなくゆとりをもって本人と面会をできるようになる。

19.法律専門家からの相談

本人:認知症、身体的には問題がないが、言ったことをすぐに忘れてしまう、お金の管理ができないなどの症状がある

本人は老人ホームに入居中。生活上は特に問題はないが、子供は精神疾患で入院中、孫が本人の成年後見人となり財産管理を行っていた。孫自身も病気を 抱えており、本人の財産管理が負担になっていた。さらに後見事務の方法が分からず、本人の土地を勝手に売却するなど、悪気はないが成年後見人としての立場 としては行ってはいけないことを繰り返し、裁判所から呼び出し、辞任をするように言われたとのこと。孫から相談を受け、成年後見人を変更する。
新後見人となり、本人の後見事務を把握すると、さまざまな問題点が発覚。裁判所と連絡を取り合いながら、適正にすべく努力をしている。本人はホームで穏や かに生活をされている。新後見人より「何も心配いらないこと」伝えてあり、すぐに忘れてしまうが、その都度安心している。

20.法律専門家からの相談

本人:精神疾患・認知症、身体的には問題がないが、言ったことをすぐに忘れてしまう、お金の管理ができない生活能力がないなどの症状がある

本人は、精神病院に入院中。通帳などを病院が預っていたが、できるだけ預かりたくないとのことで、成年後見制度を利用する。
後見人がつき本人とのコミュニケーションをとりながら、面会、医療費の支払い、その他障害者等に関わる手続きを行う。病状は安定しており、治療の必要性が無いとのことから、介護施設を、病院の相談員とともに探している。

 

21.親族からの相談

本人:認知症だが10数年受診しておらず、独居での生活のため、自宅はごみ屋敷と化している

入浴も10数年行っておらず、食事もまともにとることなく、賞味期限切れの食材が自宅内に散乱していた。親族は遠方に住んでおり、支援は難しく、地域包括支援センターや民生委員などと何度か話合いの機会を持つも生活上の進展なく生活は荒れていく一方であった。

親族申立で後見人が就任し、後見人が親族と連絡を密にとり、介護保険申請、ケアマネージャーへの依頼、訪問介護サービスや往診などのサービスを利用する。初めは自宅内に他人が入ることに拒否が見られていたが、時間をかけて信頼関係を築き、徐々に安定してサービスを展開することができるようになった。自宅内も徐々に片付き、デイサービスも利用しこちらも時間をかけて信頼関係を築いていくと、デイサービスを楽しみにされるようになる。日常生活は安定してきたが、たびたび電車に乗ったりして、遠方に失踪することがあり、そのたびに警察に捜索願をだし、警察に保護され、たびたび深夜や朝方に後見人が迎えに行くという状況となる。親族とサービス関係者、ケアマネージャーと相談の上、本人の安全性の配慮とデイサービスでの本人の様子で、集団行動は問題のないことを確認。また本人も、”1人でいるよりも人といたほうが楽しい”と話されるようになったため、施設入所を手配、現在は施設での生活を穏やかに過ごしている。

 

22.市役所からの相談

本人:認知症 急性期には危険な時期もあったが病状も安定している。

職場で倒れ、病院に救急車で運ばれたが身寄りがなく職場の同僚が市役所へ相談、本人の医療費や公共料金の支払いも滞っていたため支払い手続き、民間保険の調査も行い支払いの対象となるものが数件見つかり、多額の保険金を得ることができた。その後病状が安定したため老人保健施設へ入所、現在特別養護老人ホームへの入所待ちをしながら穏やかな生活を送っている。

 

23.市役所からの相談

本人:幼少時より知的身体重複障害。幼少より施設で生活をされている。父親が親として、成年後見人として本人の面倒を見ていたが、父親が倒れ親としての役割とともに成年後見人としての役割も果たせなくなっていた。

父親が倒れ数か月経過していたため、施設費用の支払い、諸手続きなどすべて滞っていた。裁判所の職権で父親は後見人を解任され新後見人が選任される。後見人は財産調査後、すべての債務整理を行い、滞っていた諸手続きも行う。それと同時に本人との信頼関係も築き、発語もなくコミュニケーションも難しい方であったが、度々訪問している間に後見人の声掛けに発語や身振り手振りなどまた、笑顔も多くみられるようになった。

 

24.地域包括支援センターからの相談

本人:認知症。軽度の認知症のため短期記憶は残っていることも多い。

自宅で倒れているところを近所の方が見つけ救急車で病院搬送。脳梗塞との診断。リハビリで歩行器で歩けるまでに回復したが、親族が遠方で、疎遠であったため後見制度を利用する。保佐となり、保佐人が就任。本人とコミュニケーションをとりつつ病院への支払い、公共料金、家賃などの支払いを行う。退院の話が出たため老人保健施設を探し入所。その後特別養護老人ホームを探し、空きが出たところで特別養護老人ホームへ入所となる。同時期年金の未払い分が発生することが、本人の話と保佐人の調査から発見、年金機構へ未払いの年金請求を行い、ほぼ請求通り認められる。さかのぼっての年金の支給と、これから生涯増額した年金を受け取れることとなる。増額した年金によって安定した生活を送り、余裕が出た分で、今まで買うことができなかった好きなものを買ったりと楽しんでいる。

 

25.法律専門職からの相談

本人:認知症施設で穏やかに生活をされている。

会社を経営していたが、病気になり、認知症発症。会社清算のため法律専門職が、後見人となり会社清算処理を行う。清算終了後法律家が辞任、新後見人へと引き継がれる。本人は施設で穏やかに生活をされていたが。収支がマイナスとなっていたため、障害者の認定の手続きと、税金の手続き、介護保険の食事・居住費の減額の手続きをとり、施設費用を以前までの2/3程度まで減額され、収支状況はプラスへと転じている。

 

26.地域包括支援センターからの相談

本人:高次機能障害による認知症状あり。

介護サービスを利用しながら生活をしていたが、知人の連帯保証人となり知人は自己破産。本人の債務は数千万となり放置されていた。差し押さえの恐怖におびえる毎日に加え親族が本人の資産を無心に来ることもあり、断りきれずにお金をあげてしまい、自らの生活も困窮していた。本人の申立で補助人が就任。補助人と弁護士が協力し自己破産、免責手続きをとることによって債務をなくすことができ、補助人のたびたびの訪問に本人も信頼し安心して生活できるようになった。また、補助人が金銭を適切に管理することによって、親族からの無心もなくなり少しずつ貯金もできるようになっている。

 

27.地域包括支援センターから

本人:認知症。覚えていることもあり後見人のことはわかっている。自分が実際にできることと、できると思っていることにギャップがかなりある。

親族と暮らしていたが、親族が本人の年金等を搾取し、毎日の生活にも困る状況であったため、行政が介入し措置で特別養護老人ホームへ入所その後ショートステイや老人保健施設などを転々とする。後見人が就任し、入所施設を探し、特別養護老人ホームへ入所申込み。現在は入所することができ穏やかに過ごしている。

 

28.市役所からの相談

本人:認知症、独居で介護サービスを利用しながら生活をしている。

結婚離婚をたびたび繰り返し親族との関係は疎遠となっていたが、近隣の方々の支援で楽しく生活をしていたが、人間関係のトラブルに巻き込まれることもあり、成年後見制度を利用する。後見人が就任し、本人の財産管理・身上監護を行う。後見人がつくことによって計画的に財産を管理することができ、また、後見人による抑止力によって無用なトラブルに巻き込まれることがなく、楽しく生活をされている。

 

29.知的障害者施設からの相談

本人:軽度の知的障害者。作業所で日中活動を行っている。

知的障害者の施設で穏やかに過ごしていたが、全く知らない亡母の母、本人にとって祖母にあたる方の死亡によって相続が発生し、相続人の1人となる。祖母は多大なる遺産を残したため、相続人間で相続争いが発生。本人では対応困難のため、保佐人が就任する。保佐人が調停などでの話し合いを行い、法定相続分の遺産を受け取ることができ、本人も余裕を持ったライフプランを立てることができることとなった。

 

30.親族からの相談

本人:難病による寝たきり意思疎通困難だが、親族の献身的な介護によって在宅での生活を続けていた。

同居の親族の献身的な介護と介護サービスによって在宅での生活を続けていた。同居の親族は本人の介護に必死であったが、その親族も認知症状が出始め、適切な介護ができなくなる。その矢先に本人が急死し、親族一同で葬儀を執り行う。死後の事務手続き、裁判所への報告相続人への遺産の引き継ぎを後見人が行い、後見人としての職務は終了となったが、その後認知症状があった親族の後見制度利用相談にのることとなり、本人・ケアマネージャー等からの強い希望により保佐人に就任する。今まで住んでいた借家が独居生活では広すぎ、また家賃的にもかなり生活を圧迫していたため、別の親族が施設を手配、入居の手続きをすすめるも、本人拒否強く、親族もかかわりに限界を感じてきていたため、保佐人が高齢者住宅を手配。本人を説得し転居する。借家の片づけ、大家への引き渡しなど、すべて保佐人が行い、特に敷金を入居の時に納めていたが、ハウスクリーニングなどを理由に大家は返還を拒否した。そのため、国土交通省の敷金返還に関するガイドラインや裁判例などを提示し、それらに沿った敷金返還を請求し、請求通り敷金の返還がなされた。現在は高齢者住宅で帰宅願望もなく、介護サービスを利用しながら生活をされ、デイサービスに通うことを楽しみにされている。

 

31.市役所ケースワーカーからの相談

本人:脳梗塞により入院。言語障害がありコミュニケーション困難。

独居生活を送っていたが、急変により入院。リハビリ等を行いながら、各地の病院を転々としていた。後見人が決まり、それまでは本人の財産を動かすことができず、生活保護を受給していた。財産調査等の結果、年金で介護施設ならばまかなうことができると判断。老人保健施設へ入所し、生活保護を受けずに、本人のみの財産で生活ができることになった。老人保健施設では、リハビリも精力的にこなし、病状も安定、今までできなかったことや、コミュニケーションも単語であれば可能なところまで回復をしてきている。

 

32.知的障害者施設からの相談

本人:施設で何十年も生活をしている。生活自体は安定している。

親族が成年後見人を務めていたが、施設費用を支払わず、私的流用の可能性が高いことから、裁判所が親族の後見人を解任し、新後見人となる。新後見人は本人の財産を前後見人から守るために、口座開設し年金振込先を変更、施設費用を支払うことができる体制をつくる。また本人は障害者施設に入居し、介護保険の被保険者に該当しないにもかかわらず、年金から介護保険料が天引きされており、さらに介護保険料の請求が後見人に来たため、行政に厚生労働省からの通知を提示、根拠を示し、介護保険料の請求の停止と支払い分の返還を請求し、時間はかかったものの行政より請求通りの趣旨で回答いただく。前後見人に関しては本人の財産の私的流用が認められるため、内容証明送付、回答がないため、支払督促、強制執行の申立を行い、本人の権利を擁護している。

 

 

33.市役所からの相談

本人:知的障害、身体障害の重複障害、長く施設で生活をされている。こちらの言っていることはほぼ理解できている。

本人:知的障害、精神障害で、病院に長期にわたって入院している。

元々親族が成年後見人をしていたが、急死したため、新後見人が就任。本人2人は親族のため、2人とも同一の後見人で対応する。1人は病状が安定せず、度々入院、転院を繰り返すも別の親族がその都度対応され、後見人もたびたび病院に足を運び医療者施設などと連携を取りながら進めていくよう努力をしている。また、並行して必要な制度を利用しているか調査すると、利用できるのに利用していない福祉制度などがいくつかあることがわかり、それらを申請。それぞれ入院費や施設費の減額を行うことができている。さらに親族が前後見人からの移行期に本人の財産から搾取が認められたため、相当額を請求、応じなければ法的手段も検討しなければならない状況にある。